Nicolas Jones 
ニコラス ジョーンズ
コネチカット州生まれ 1899-1947

 
 代筆屋、古物商、見世物小屋経営を経て、サーカス「ニコラス・ジョーンズ・サーカス団」を発足、財をなす。
 饒舌で魅力的な男性であったとされる反面、詐欺師・誇大妄想狂とも言われ、反感を買う事が多かった。
 当時の新聞取材記事によると、「イギリス王族の血縁者である」「異世界に行った事がある」等の発言が見られるが、ニコラス本人はこれを捏造として否定している。
しかし、彼は見世物小屋時代において、マクマーセット病患者(当時は石皮病と言われた)を「異世界のモンスター」と偽り、客に見せていた事例がある為、反論に信憑性はない。
 見世物小屋時代に知り合った女性と結婚し二児を設けるも、サーカスで火災が発生し、妻・子供を亡くす。この火災は放火もしくはサーカス団員による焼身自殺が原因ではないかと言われたが定かではない。
 ニコラス自身は酸を使用し自殺を図るが失敗に終わり(家族の死が原因ではないかと言われている)、その後精神病院に入院し、同精神病院にて1947年没。
 クランプ通り(ニコラス自身はニコラスジョーンズ通りと呼んでいた)沿いの自宅であるアパートの一室には多くの骨董品や仮面、それにまつわる手記(全13冊)が残されていた。しかし、大部分は大家により売却、または処分される。
 サーカスはチャールズ・ランカスターなる人物に売却される。数年後、サーカスの権利を主張するニコラス・ジョーンズを名乗る人物がランカスターの元に訪れるが、顔の大部分が重度の火傷で覆われており、ランカスターはニコラスだと確信が持てず、ニコラスと名乗る人物も本人証明が出来なかった為、権利の譲渡はされなかった(仮に本人である証明がなされたとしても、書類上は合法的にランカスターの所有であるが)。
 
 当サイトに掲載している仮面は、独自に入手され、ニコラスの手記、写真を元に鑑定された物である。


アメリカ北部
ワグンダ族(wgnndea)
材質:木
 ワグンダ族が所有する仮面で、雨乞いの儀式に使用します。初期の儀式では部族の長老が焚火に飛び込み、雨乞いの儀式を行っていましたが、後期になると長老を模した仮面を被り、焚火の前で舞踏する儀式に変化しました。

ルーマニア
トゥルグムレシュ地方
材質:岩、木の実
 民家の地下で発見された仮面です。居住民族の記録によると、飢饉の際に行う豊穣の儀式に使用する円形仮面の記述が確認できます。口部の突起物は穀物や種実類を表し、より多く食べられる様、願いが込められているそうです。儀式の際、祈祷師は突起物の数だけ毒性の強いココシカの実を食べます。生存した場合、願いが叶うとされています。

南アフリカ
ゾンバ族(zomba)
材質:木
 和平の為の祭事を行う際に使用する仮面です。各少数部族毎に仮面を作成し、同じ動物の仮面を作成した部族同士は次の祭事まで同所に居住し、争い事を許されません。この仮面はゾンバ族の物で牛の仮面とされていますが、別部族によるとキリンの仮面ではないかと言われており、見解が一致しない場合は部族間の新たな争いの火種になる場合があります。

メキシコ
ポツァロッカ遺跡(Potzaloca)
材質:石
 戦死者を神の国へ送り届ける儀式の際、司祭が使用します。儀式後は戦死者の心臓をくり抜き乾燥させ、人間の頭蓋骨で作成した入れ物に保管します。仮面頭頂部にある多数の石は、戦士の魂もしくは神の国を表しています。民族としてはトトメカ人(totomeca)であったとする説が有力ですが、テスココ人(テツココとも。Tixcoco)の説もあります。

コンゴ
トゥク族・トウックー族(Twuk)
材質:木
 掲載された仮面の中では比較的新しく、別部族から白髭を蓄えたゴリラの話が伝わり、想像で作られた物と言われています。白髭のゴリラは発見されておらず、噂の類から生まれた仮面である可能性があります。また、当初は上下逆向きで作成され、途中から現在の方向になった様で、遊びで作った仮面ではないかと言われています。

ケニア
エチオピア付近(族名不明)
材質:木、動物の骨
 草食動物の骨に近い形態をしていますが、竜の様な姿をした精霊の仮面です。伝承では、多くの草食動物の魂が集まって精霊となり、獲物を取りすぎた部族に災いをもたらすと言われています。狩猟の事で争いが起きた際に司祭が被り、非があるとされる側に獲物が獲れなくなる呪いをかけます。角部は動物の物を加工して使用し、骨に見える部分は木製です。

インド
バジャーハルラール地方
材質:粘土
 夫婦が死別した場合、死亡した側のデスマスクを作成し、残された側が葬式で被り、舞踏します。仮面は生前の姿に似ているほど良く、死の国で再会するまでの期間が短くなると言われています。再会を望まない場合、わざと似ていない仮面を作ります。残された側も死亡した際は遺体と一緒に埋葬されますが、何故ニコラスが所持していたかは不明です。

ミャンマー
ピンヨー族(Piinyou)
材質:木、粘土
 カチン族もしくはシャン族に属するピンヨー族の仮面で、別宗教の僧侶を元にした仮面です。部族を災いから助けた僧侶が神格化し、土着信仰に組み込んだとされ、舞踏を主体とした祭事に使用します。舞踏には別宗教の要素が見られます。仮面は木製の上に粘土を塗布して作成されています。

日本
北海道地方
材質:木
 アイヌ(の可能性がある)民族と交流のあった民族が作成し、アイヌ側が受け取った仮面とされています。アイヌ側が作成し、相手に送った仮面は発見されていません。仮面上部に見られる王冠の様な突起物はアイヌ文化に存在せず、また、送られた側もアイヌ民族であると確定するに至りません。

台湾
平埔族(個別族名不明)
材質:粘土
 平埔族は台湾原住民族(※現地の呼称や少数民族の意見を尊重する為の呼称)を一括した呼名で、仮面を作成した個別の原住民族名は不明です。民族の居住地付近に出没する猿は必ずつがいで行動する為、夫婦円満の象徴であり、仮面は結婚式で使用します。また、日本の土産物屋で似た仮面が販売されていた説があります。

南アフリカ
族名なし
材質:木
 南アフリカの仮面としては珍しい、濃青色の仮面です。海神の仮面であり、海岸沿いに居住していた少数部族が、漁の際に使用していました。大漁の場合、頭頂部の半円部分から酒を注ぎ、仮面のみ海に流しますが、不漁の場合は漁師の血を注ぎ、漁師と一緒に海に流します。

ポリネシア
サウモア島
材質:動物の骨、もしくは玉髄
 呪術に使用する仮面です。大型動物の肩甲骨付近を使用していると伝えられていますが、ポリネシアに大型動物は存在しない為、オーストラリアから渡来した、動物の骨を使用している説と、玉髄(ぎょくずい・chalcedony)の一種を使用している説があります。また、海亀を使用する呪術である事以外、どういった呪術であるか不明です。

チャド共和国
南東部
  アフリカの仮面の大半は木製ですが、これは原始的な窯、もしくは焚火等で作成された焼物です。出土した地域では、罪人を地面から顔半分出した状態で埋める刑罰があり、近隣の壁画にも刑罰の様子が残されています。埋められた状態で3日間生き延びれば無罪となりますが、大半は動物に食べられてしまうそうです。

コスタリカ
ボルカマスク(boruca)
 現在ボルカマスクは販売用に作成される事が殆どで、モチーフの大半は動植物です。しかし、この仮面は雨期の祭りに使用する物で、太陽を表しています。雨期期間中に作成し、完成後最初の雨の中で使用されます。雨により塗装が落ちてしまう為、掲載された仮面の様に塗装が残っている状態の物は大変貴重です。

キリバス共和国
ライン諸島・ペンガレバ島
 ライン諸島にあるペンガレバ島で発見された仮面です。付近の深海には仮面に類似した形状の軟体生物が確認されてますが、作成した島民がこの生物を知り得た方法・状況は不明です。大型の蝦蛄貝の一種を材料としており、目の部分には大型イカの軟骨が嵌められていたと記録されていますが、再収集の時点では紛失しており、その部分のみ復元です。

パプアニューギニア
カッカ族(cakka)
 カッカ族が年中行事で使用する仮面の復元です。5月最初の新月に行われ、仮面を被った者は、夜明け前に明りを全て消した村中の家を回り、戸口を叩きます。明りは仮面両側にある突起物に設置する蠟燭のみで、村の住人は戸口を叩かれたら「エンドゥァ、エンドゥァ、(endua)」と唱えます。全ての家を回った後、山中にて仮面を破壊します。

インド
パキスタン国境付近
 国境付近のマーケットで入手したとされています。形状から象である説が有力ですが、実際の象と比べ異なる部分も多く、絶滅種であるという説と、四つの耳が神を表現している説があります。

日本
関西地方
 「神虞(しんぐ)」と呼ばれる仮面劇に使用します。「神通力を授かった狐が、人々に災いをもたらした為、神により茨を巻き付けられ、自ら体を滅ぼす」物語です。劇終盤、茨に巻かれ苦しみながらも笑う狐のシーンは神虞屈指の名シーンと言われています。狐役は代々野沢家、若本家の当主が演じますが、若本家の方が評価が高いと言われています。

フランス
オルレアン
 フランスで開催された「新現代芸術展」に出品された仮面です。H・バーカーが出品し、高評価を得た仮面ですが、本人制作を疑われていました。ニコラス・ジョーンズの手記にある情報と酷似していた為、財団により合法的に回収されましたが、バーカーは回収を不当として起訴しようとしていましたが、直前に火災による事故死をしています。

スリランカ
アンバランゴダ
 スリランカには伝承と仏教の物語を組み合わせたような劇「コーラム」に使用する物で、アンバランゴダ仮面美術館にも似た仮面が展示されています。あらすじは「あるシンハラ人が酒に溺れ自分を国王だと吹聴する」喜劇です。仮面の色が青いのは酔いを表している説と、仏教ではなくヒンドゥー教の影響である説があります。
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