Nicolas Jones 
ニコラス ジョーンズ
コネチカット州生まれ 1899-1947

 
 代筆屋、古物商、見世物小屋経営を経て、サーカス「ニコラス・ジョーンズ・サーカス団」を発足、財をなす。
 饒舌で魅力的な男性であったとされる反面、詐欺師・誇大妄想狂とも言われ、反感を買う事が多かった。
 当時の新聞取材記事によると、「イギリス王族の血縁者である」「異世界に行った事がある」等の発言が見られるが、ニコラス本人はこれを捏造として否定している。
 しかし、彼は見世物小屋時代において、マクマーセット病患者(当時は石皮病と言われた)を「異世界のモンスター」と偽り、客に見せていた事例がある為、反論に信憑性はない。
 見世物小屋時代に知り合った女性と結婚し二児を設けるも、サーカスで火災が発生し、妻・子供を亡くす。この火災は放火もしくはサーカス団員による焼身自殺が原因ではないかと言われたが定かではない。
 ニコラス自身は酸を使用し自殺を図るが失敗に終わり(家族の死が原因ではないかと言われている)、その後精神病院に入院し、同精神病院にて1947年没。
 クランプ通り(ニコラス自身はニコラスジョーンズ通りと呼んでいた)沿いの自宅であるアパートの一室には多くの骨董品や仮面、それにまつわる手記(全13冊)が残されていた。しかし、大部分は大家により売却、または処分される。
 サーカスはチャールズ・ランカスターなる人物に売却される。数年後、サーカスの権利を主張するニコラス・ジョーンズを名乗る人物がランカスターの元に訪れるが、顔の大部分が重度の火傷で覆われており、ランカスターはニコラスだと確信が持てず、ニコラスと名乗る人物も本人証明が出来なかった為、権利の譲渡はされなかった(仮に本人である証明がなされたとしても、書類上は合法的にランカスターの所有であるが)。
 

「The Truth About Nicolas Jones」より抜粋
訳:小和田明

 
 当サイトに掲載している仮面は、独自に入手され、ニコラスの手記、写真を元に鑑定された物である。


ニコラスジョーンズ履歴
1899年 アメリカ・コネチカット州に生まれる。幼年期は神童と呼ばれた。(後年ニコラス談)
1913年 飛び級で大学に入学。(後年ニコラス談)
1914年 第一次世界大戦勃発。徴兵検査で不合格となる。「入隊試験があまりもくだらなかった為、入隊しなかった」と発言。(後年ニコラス談)
1918年 第一次世界大戦終結。代筆屋業開始。小説を執筆したとされるが、発行されていない。
1919年 古物商等、職を転々とする。古物商時には偽物を売りつけたとして客とトラブルになっていた。
1925年 「ニコラス・ベーカリーアンドバーガーショップ」経営。好評だったが、29年閉店。
1928年 窃盗犯を捕まえたとして表彰される。
1930年 最初の仮面を手に入れたとされる。(手記に記載・現存せず)
1931年 見世物小屋「アナザー・ワールド・ショー」経営。「異世界で捕獲したモンスターが見れる」と宣伝。
1933年 出資者の協力により「ニコラス・ジョーンズ・サーカス団」発足。
1933年 妻サラ(見世物小屋時代「ストーンレディ」として出演)と結婚。二児を儲ける。
1936年 タブロイド紙「ニューヨーク・エクスプレス」にインタビュー掲載。発言内容を捏造されたと主張。裁判には至らなかった。
1937年 タブロイド紙にサーカス団出資者との恋仲説掲載。後日訂正記事掲載。
1938年 皮膚治療研究団体に多額の寄付。
1938年 サーカス団にて火災発生・妻、子供死亡。(火災には団員自殺説・放火説あり)C・ランカスター主導により、サーカス団は経営続行、ニューヨークに拠点を移す。
1938年 クランプ通り三丁目のアパートに移住。周囲の人間にはアパート全体を購入したと話していたが、実際には一室のみの賃貸。
1939年 自宅近所での夜間徘徊を多数目撃される。
1941年 太平洋戦争勃発。入隊志願。(精神不安定と判断され、受理されず。が、真贋不明の戦地写真あり)
1945年 太平洋戦争終結。酸による自殺未遂。顔面に重度の火傷を負う。
1945年 精神病院に入院。他の入院患者に対し、フレンドリーに接していた。
1946年 精神病院にて2名自殺。「ニコラスがやった」と患者による報告あり。(患者は虚言癖であった為、信用されなかった)
1947年 精神病院にて没。
1947年 アパートにて仮面・手記発見。ニコラス・ジョーンズ財団発足。
1948年 チャールズ・ランカスターがサーカス団の経営権を取得。
1950年 ニコラスと同名の者がチャールズ・ランカスターの元を訪れ、サーカス団の権利を主張したとされる。
1952年 ニコラスの研究書「ニコラスジョーンズの真実」発行。
1953年 ニコラスをモデルにした小説「失われた仮面」(J・デビット著)発行。
1972年 ニコラスの研究書「ニコラス・ジョーンズの虚構と真実」発行。

 


NJ-01
アメリカ北部
ワグンダ族(Wgnndea)
材質:木
 ワグンダ族が所有する仮面で、雨乞いの儀式に使用します。初期の儀式では部族の長老が焚火に飛び込み、雨乞いの儀式を行っていましたが、後期になると長老を模した仮面を被り、焚火の前で舞踏する儀式に変化しました。

NJ-02
ルーマニア/トゥルグムレシュ地方
材質:岩、木の実
 民家の地下で発見された仮面です。居住民族の記録によると、飢饉の際に行う豊穣の儀式に使用する円形仮面の記述が確認できます。口部の突起物は穀物や種実類を表し、より多く食べられる様、願いが込められているそうです。儀式の際、祈祷師は突起物の数だけ毒性の強いココシカの実を食べます。生存した場合、願いが叶うとされています。

NJ-03
南アフリカ
ゾンバ族(Zomba)
材質:木
 和平の為の祭事を行う際に使用する仮面です。少数部族毎に一つの仮面を作成して持ち寄り、同じ動物の仮面を作成した部族同士は次の祭事まで同所に居住します。掲載されている仮面はゾンバ族の物で、牛の仮面とされていますが、別部族によるとキリン、もしくはオカピの仮面ではないかと言われており、見解が一致しない場合は部族間の新たな争いの火種になる場合があります。

NJ-04
メキシコ/ ポツァロッカ遺跡
材質:石
 遺跡より発掘された物から復元された仮面です。死者を神の国へ送り届ける儀式の際、司祭が使用します。儀式が行われる対象は戦死者のみであり、大変栄誉とされています。仮面頭頂部にある多数の石は、戦士の魂もしくは神の国を表しています。特殊な塗料により、光の当たる角度によって色が変化すると伝えられています。

NJ-05
コンゴ
トゥク族・トウックー族(Twuk)
材質:木
 掲載された仮面の中では比較的新しく、別部族から白髭を蓄えたゴリラの話が伝わり、想像で作られた物と言われています。白髭のゴリラは発見されておらず、噂の類から生まれた仮面である可能性があります。また、当初は上下逆向きで作成され、途中から現在の方向になった様で、遊びで作った仮面ではないかと言われています。

NJ-06
ケニア・エチオピア付近
族名不明
材質:木、動物の骨
 草食動物の骨に近い形態をしていますが、竜の様な姿をした精霊の仮面です。伝承では、多くの草食動物の魂が集まって精霊となり、獲物を取りすぎた部族に災いをもたらすと言われています。狩猟の事で争いが起きた際に司祭が被り、非があるとされる側に獲物が獲れなくなる呪いをかけます。

NJ-07
インド/バジャーハルラール地方
材質:粘土
 夫婦が死別した場合、死亡した側のデスマスクを作成し、残された側が葬式で被り、舞踏します。仮面は生前の姿に似ているほど良く、死の国で再会するまでの期間が短くなると言われています。再会を望まない場合、わざと似ていない仮面を作ります。残された側も死亡した際は遺体と一緒に埋葬されますが、何故ニコラスが所持していたかは不明です。

NJ-08
ミャンマー
ピンヨー族(Piinyou)
材質:木、粘土
 カチン族(Cadin)もしくはシャン族(Shann)に属するピンヨー族の仮面で、別宗教の僧侶を元にした仮面です。部族を災いから助けた僧侶が神格化し、土着信仰に組み込んだとされ、舞踏を主体とした祭事に使用します。舞踏には別宗教の要素が見られます。仮面は木製の上に粘土を塗布して作成されています。

NJ-09
日本/北海道地方
族名不明
材質:木
 アイヌ文化の様な文様が見られ、アイヌ(の可能性がある)民族と交流のあった民族が作成した仮面とされています。お互いに敬意を表し、相手の文化を模した仮面を作成し、交換を行ったとされています。アイヌ側が作成し、相手に送った仮面は発見されておらず、どういった文様、民族であったかは定かではありません。

NJ-10
台湾
平埔族(個別族名不明)
材質:粘土
 平埔族は台湾原住民族(※現地の呼称や少数民族の意見を尊重する為の呼称)を一括した呼名で、仮面を作成した個別の原住民族名は不明です。民族の居住地付近に出没する猿は必ずつがいで行動する為、夫婦円満の象徴であり、仮面は結婚式で使用します。また、日本の土産物屋で似た仮面が販売されていた説があります。

NJ-11
南アフリカ
族名なし
材質:木
 南アフリカの仮面としては珍しい、濃青色の仮面です。海神の仮面であり、海岸沿いに居住していた少数部族が、漁の際に使用していました。大漁の場合、頭頂部の半円部分から酒を注ぎ、仮面のみ海に流しますが、不漁の場合は漁師の血を注ぎ、漁師と一緒に海に流します。

NJ-12
ポリネシア/サウモア島
カカイ族(Kakai)
材質:動物の骨、もしくは玉髄
 呪術に使用する仮面です。海亀を使用する呪術である事以外、どういった呪術であるか不明です。大型動物の肩甲骨付近を使用していると伝えられていますが、ポリネシアに大型動物は存在しない為、オーストラリアから渡来した、動物の骨を使用している説と、玉髄(ぎょくずい・Chalcedony)の一種を使用している説があります。また、部族名を訪ねた時「カカイ」と返答された為表記してありますが、これはトンガ語で「人」という意味です。

NJ-13
チャド共和国 南東部
材質:粘土
  アフリカの仮面の大半は木製ですが、これは原始的な窯、もしくは焚火等で作成された焼物です。出土した地域では、罪人を地面から顔半分出した状態で埋める刑罰があり、近隣の壁画にも刑罰の様子が残されています。埋められた状態で3日間生き延びれば無罪となりますが、大半は動物に食べられてしまうそうです。

NJ-14
コスタリカ
ボルカマスク(Boruca)
材質:木
 現在ボルカマスクは販売用に作成される事が殆どで、モチーフの大半は動植物です。しかし、この仮面は雨期の祭りに使用する物で、太陽を表しています。雨期期間中に作成し、完成後最初の雨の中で使用されます。雨により塗装が落ちてしまう為、掲載された仮面の様に塗装が残っている状態の物は大変貴重です。

NJ-15
キリバス共和国/ペンガレバ島
材質:貝、イカの軟骨
 ライン諸島にあるペンガレバ島で発見された仮面です。付近の深海には仮面に類似した形状の軟体生物が確認されてますが、作成した島民がこの生物を知り得た方法・状況は不明です。大型の蝦蛄貝の一種を材料としており、目の部分には大型イカの軟骨が嵌められていたと記録されていますが、再収集の時点では紛失しており、その部分のみ復元です。

NJ-16
パプアニューギニア
トイ族(Toii)
材質:木
 トイ族が年中行事で使用する仮面の復元です。仮面を被った者は、夜明け前に明りを全て消した村中の家を回り、戸口を叩きます。明りは仮面左右両側にある突起物に設置する蠟燭のみで、村の住人は戸口を叩かれたら「エンドゥァ、エンドゥァ、(Endua)」と唱えます。全ての家を回った後、山中にて仮面を破壊します。

NJ-17
インド/パキスタン国境付近
材質:粘土、木
 国境付近のマーケットで入手したとされています。形状から象である説が有力ですが、実際の象と比べ異なる部分も多く、絶滅種であるという説と、四つの耳が神を表現している説があります。

NJ-18
日本/関西地方
虞面
材質:木
 「神虞(しんぐ)」と呼ばれる仮面劇に使用します。「神通力を授かった狐が、人々に災いをもたらした為、神により茨を巻き付けられ、自ら体を滅ぼす」物語です。劇終盤、茨に巻かれ苦しみながらも笑う狐のシーンは神虞屈指の名シーンと言われています。狐役は代々野沢家、若本家の当主が演じますが、若本家の方が評価が高いと言われています。

NJ-19
フランス/オルレアン
材質:皮、粘土、木
 現世界の「フランス新現代芸術展」に出品された仮面です。H・バーカーが出品した仮面ですが、作者の過去作品との共通性が皆無であった為、本人制作を疑われていました。ニコラス・ジョーンズの手記にある情報と酷似していた為、合法的に回収されました。バーカーはこれを否定、回収を不当として、起訴しようとしていましたが、直前に火災による事故死をしています。

NJ-20
スリランカ/アンバランゴダ
材質:木
 スリランカには伝承と仏教の物語を組み合わせたような劇「コーラム」に使用する物で、アンバランゴダ仮面美術館にも似た仮面が展示されています。あらすじは「あるシンハラ人が酒に溺れ自分を国王だと吹聴する」喜劇です。仮面の色が青いのは酔いを表している説と、仏教ではなくヒンドゥー教の影響である説があります。

NJ-21
フィリピン/カバン島
材質:木
 神話にある赤い牛を模した仮面です。顔は人の様ですが体は四つ足で、簡単な人語を喋るこの牛は神の使いとされており、様々な助言を行ったと言われています。祭りで使用し、実在の牛に人と牛の血を混ぜた物を塗り、この仮面を被った人物が上に乗ります。

NJ-22
ギリシャ/ピレウス
材質:石
 ピレウスに実在した秘密結社の仮面です。結社の全貌は謎に包まれており、詳細は分かっていません。「ガンガ(Ganga)」という特殊な演劇等で似た仮面を使用するケースも見受けられます。ニコラス・ジョーンズも秘密結社会員であったとされていますが、確認はとれていません。

NJ-23
ナミビア/ウォロンゴ
材質:木
 禁煙者の仮面です。口の部分の湾曲した棒状の部分は取り外せる様になっており、本来はそこにタバコを刺して吸いますが、禁煙者が使用する場合は湾曲した棒状の先にタバコを入れて使用しますが穴は塞がっており、吸う事ができず匂いを嗅ぐのみとなります。

NJ-24
ドイツ/ケルン
材質:鉄
 飽食の刑罰に使われる仮面です。この時代、戦争による収益により成金が増え、食べ物を粗末に扱う人が増えました。そこで政府から厳しい取り決めが発令され、これを守らなかった人はこの仮面を被らされました。食事は残飯が与えられていました。また、この刑罰は貴族には適応されない為、下層階級からは非難の声が上がっていました。

NJ-25
カメルーン/バチャム
材質:粘土
 バチャムには同様の仮面が多く存在しますが、扇子状の部分に模様がある物は大変めずらしく、当時の地図であり、宝の地図であるという説がありますが、同様の地形は見つかっておらず、他には星図という説や男性器を押し当てた柄である説、と単なる焼きムラだという説があります。

NJ-26
中国 四川省/ 三星堆遺跡付近
材質:青銅
 三星堆遺跡付近で見つかった仮面です。同遺跡からは立人像や大型の顔等が出土していますが、仮面は掲載された物以外には二つ(三つという説もあり)しか存在しません。長く突き出た目は、はるか彼方をも見通す神の顔を表したものと考えられています。鳥の装飾がありますが後年破損し、一般人により雑に修復されているのが悔やまれます。

NJ-27
メキシコ/ベリーズ国境付近
材質:木
 ベリーズ国境付近の村で見つかった悪魔の仮面です。悪魔と言われていますがそれほど恐ろしい存在ではなく、女性へのイタズラを主体としており、祭りでは後ろから抱き着いてきたりしますが、その度に女性に強く棒で叩かれ、男性は日頃の行いを改めるそうです。この為、悪魔役の男性をやる人間は限られているそうです。

NJ-28
ウガンダ共和国/アウォジャ湿地帯
材質:木
 アウォジャ湿地帯付近に自生しているウニの木(ウンニィとも・Yunii)の中で、根本に罪人が生きたまま埋められた神木とされる樹木を使用した仮面です。魔除けの儀式に使用するうち、雨・湿気と晴天による乾燥を繰り返す事で、次第に顔に見える物になるそうです。

NJ-29
グアテマラ/ エル・ティティカル遺跡
材質:翡翠、ターコイズ
 ユカタン半島にあるパレンケ遺跡で発掘されたマヤの翡翠仮面に酷似しており、何らかの関係があると推測されています。青い部分はターコイズの一種ですが、この地域にターコイズは存在しない為、交流があった文化の影響ではないかと言われています。実際にターコイズを使用した仮面はアメリカ南部のサン・アントニオ美術館に収蔵されている物が有名です。

NJ-30
ブルネイ・ダルサラーム国/ アパック-アパック近郊
材質:木、人毛
 病気の精霊の仮面です。村人の大半が仮面を被り、残った数名が病気の精霊を倒す儀式に使用します。仮面側が多勢なのは、病気によって滅びかけた村が復興した事例を表しています。頭頂部の毛髪は麻を染めた物です。初期の仮面は病気で亡くなった人の人毛だったそうです。

NJ-31
リビア/ レプティス・マグナ遺跡付近
材質:粘土
 罪人が牢に閉じ込められる際に被る仮面です。牢は地下にあり、数センチ程の水が張られています。湿気により腐敗し、破損するまで牢から出る事は出来ず、また自身で破損させた場合は、再度新しい仮面を被されます。破損した仮面は、かつて罪人であった事と罪を償った事を証明する為、修復されたのち罪人の家の入口に飾られます。

NJ-32
ボツワナ/ザカラポ
素材:牛糞
 牛糞を固めて焼いた仮面です。付近一帯では牛を大切な生物として扱っており、排せつ物も建築資材として使用していました。年に二回行われる牛の祭りで使用します。頭頂部の装飾は人糞を乾燥させた物で、死後牛に生まれ変わる為の願いが込められています。

NJ-33
スロバキア/レビツェ
材質:銅、木
 この仮面はニベスカー・オソバ(Nebeská Nsoba)と呼ばれ、天空人を表し、それと対話する為に作成された仮面と言われています。天空人については、千年以上前の石板からも確認できますが、仮面自体は中世付近の物です。顎部にある突起物は天空人の音声・鳴き声を真似た音が鳴る様ですが、腐食による破損の恐れがある為、確認できていません。

NJ-34
日本/対馬島
材質:木、藁
 対馬島に伝わる相撲に似た競技の際に使用します。相撲の同様、足の裏以外が地面に付く事以外に、仮面を破損し素顔を晒したら負けとなり、二度と相撲を取る事は許されず、それを苦に自殺する者もいたそうです。装飾には朝鮮半島の影響も見られ、国交行事にも使用した記録があります。また、似た仮面がモンゴルにもある様ですが、発見されていません。

NJ-35
東ティモール/マヌファヒ
オスアラ族(Osala)
材質:花弁
 大型のユリ科の花弁を乾燥させ、釉薬を被せた仮面です。このユリ科の花弁は大変厚く、食器・皿等にも使用していた記録があります。使用していた部族は現存しませんが、製法は残っていた為復元ました。

NJ-36
ニジェール/バトゥーレ
材質:粘土
 ニジェールのバトゥーレ付近に存在したとされる古代国家の王を模した仮面です。良主であり、自らを「ントゥワ(Nn-duwa)=ライオン王」と称していましたが、鼻が大変大きく目立っていた為、国民からは「ンドゥーワ=鼻の大きな王」と呼ばれ親しまれていました。口髭はアフリカ人男性の生え方と異なる為、後世に落書きされたものではないかと考えられています。

NJ-37
フィリピン/ドゥブマゲ島
材質:芋の皮
 フィリピン中央付近のドゥブマゲ島で採れる大型の芋の皮を使用した仮面です。イームゥ(Ie-mu)と呼ばれるその芋は大変貴重で美味とされていますが、麻薬成分が含まれており、大量摂取すると死に至ります。二人同時に食べますが、もしどちらかが死んでしまった場合、死ななかった方の食べていた芋の皮は仮面に、死んだ方は芋の生育地に埋葬されます。

NJ-38
アンゴラ/マビンガ近郊
材質:骨、麻布
 マビンガに生息した角付き猿の仮面です。角は装飾品として使われる為、乱獲され絶滅しました。これは角の重さにより行動が大変遅かった事が要因だったと考えられています。頭骨と共に角を使用した仮面は珍しく、祭壇に飾られていました。神事に使用されますが、その場合は角付き猿が集まってきたそうで、襲われる事もあったそうです。

NJ-39
アメリカ/ピッツバーグ
材質:プラスチック
 ハロウィンに使用する既製品の殺人ピエロの仮面を加工した物です。作者は13歳の少女で、ハロウィン当日に同級生を襲う計画を立てていましたが、母親に仮面が見つかり警察に通報され未遂に終わりました。少女によると自分は殺人ピエロの生まれ変わりで、仮面の歯は墓から入手した本物だと話していましたが、実際には只のプラスチックでした。

NJ-40
キューバ/エル・カユコ
材質:木
 NJ-41と対で発見された仮面です。死神の仮面(NJ-40)を被った者を馬の仮面(NJ-41)を被った者が肩車をしながら祭りで行進し目に付いた者を指差します。指を差された者は近日中に死亡すると言われていますが、祭りでは反対の意味があり、まだ暫くは死亡しないという捉え方をします。これは本物の死神に会った際、「私は既に死神に会っている」として死から逃れる為です

NJ-41
キューバ/エル・カユコ
材質:木
 NJ-40と対で発見された神話に出てくる角の生えた馬を表した仮面です。六本足の馬で、死神を乗せて現れると言われています。死神に指を差されて死んだ人を食べ、吐き出して新たな生命を生みます。

NJ-42
イラク南部/テル・ウバイド遺跡近郊
シュメール人もしくはウバイド人
材質:粘土
 世界最古の文化の一つとして知られる「ウバイド文化」のもとで作られたとされる仮面です。ウバイド遺跡からは同様のトカゲ状の顔をした像が見つかっています。まるでレプティリアン(ヒト型爬虫類)の様で、ウバイド人に文明を築くための知恵と技術を授けた知的生命体=宇宙人の姿ではないかと言われています。

NJ-43
イタリア/ローマ
材質:青銅
 ローマのサンタ・マリア・イン・コスメディン教会にある真実の口に似ている事から真実の面「ラ・ベリタ(La verità)」もしくは闇の魂の仮面「ボッカ・デ・アニマ・オスクラ(Bocca della Anima oscura)」と呼ばれています。これは真実の口を外した柱の中から発見された為だとも言われていますが、詳細は不明です。近年ではコンピューターゲームに似た仮面が出てくる事がある様です。

NJ-44
パプアニューギニア/ニュースコットランド島
材質:木
 処刑人が被る仮面です。処刑された罪人の顔の皮を四つの突起物に引っ掛けて使用します。罪人(A)の処刑が終わると顔の皮を剥ぎ、交換します。この時の処刑人(B)も罪人であり、次の罪人(C)が見つかるとその罪人(C)が処刑人となり、仮面(Aの顔皮を使用)を渡し罪人(B)は処刑され顔の皮を剥ぎます。この様に「以前処刑した罪人の顔で自分が処刑される」という恐ろしい処罰をされます。

NJ-45
マラウイ/ザンビア国境付近
材質:昆虫の皮
 最大30cm程ある大型の蝉に似た昆虫の表面を加工した仮面です。中身を抜き、表面を柔らかくする為、煮て引き延ばし型にはめてニカワ・油等を塗布して完成させます。中身は大変美味で、エビやナッツの様な風味がします。この仮面を被り採取しますが、近年ではほとんど見つかる事もなく、使用する機会もあまりありません。

ニコラス・ジョーンズの虚構と真実

 ニコラス・ジョーンズを研究するにあたり、重要な文献として「ニコラス・ジョーンズの真実」(The Truth About Nicolas Jones:1952年発行)と「ニコラスジョーンズの虚構と真実」(The Fiction And Truth About Nicolas Jones:1972年発行)があります。
 「ニコラス・ジョーンズの真実」は当時としては細かく調べてある方ですが、出自が怪しい情報も見受けられ、元となった取材原稿や写真は消失していたり、後年になって別の写真である事が判明しています。
 「虚構と真実」はそれを補完、及び修正したものですが、著者の私見も多くある為、現代においてはさらなる取材、研究が望まれています。
 一部ではありますが、公平を期す為、サイト上部にある「ニコラス・ジョーンズの真実」からの抜粋に加え、「虚構と真実」からも抜粋しておきます。
 どちらも現在では手に入る機会は大変少なくなっていますが(稀に神田の古本屋で高値で見受けられますが)、もし両方手に入れる事ができたなら読み比べてみるのも面白いかもしれません。


 ニコラス・ジョーンズの死後、すでにアパートの大家によって荷物の大半は売却・処分されていました。いくつかの仮面と13冊の手記は処分前であった為、運よく友人の手に渡ります。
 ニコラスを良く知るこの人物は、以前よりニコラスから異世界での仮面収集の話を聞いていましたが、いつもの妄想だと思っていました。しかし実際に仮面は存在し、手記のリアリティから、今までの妄想話は全て本当なのではないかという考えに囚われ、仮面の再収集を開始したといいます。常識的に考えれば、「異世界で仮面を入手した」と言った話を信じる事はあり得ません。これは友人(同性ですが、恋人だったのではないかと筆者は推測します)が、ニコラスを失ったところが大きかった様です。
 再収集当初は友人による個人的活動でしかありませんでしたが、サーカス設立時の出資者である人物の支援もあり、活動が活発化していきます。しかしその活動については不明な部分も多く、財団化し大きくなるにつれ、不透明な資金源や活動、収集方法の強引さが目立ち始め、「秘密結社である」と陰謀論めいた主張をする人達の出現に繋がっていきます(もちろん当時の噂話であり、現在財団は活動の全てを公表、仮面の収集は全て合法的に行われています)。
 これに加え、ニコラスの死後、ニコラスを名乗る人物に会ったとされるチャールズ・ランカスター(ニコラス・ジョーンズ・サーカス団の権利所有者)の話が一人歩きし、ニコラス生存説となります。いつしかニコラスの出生記録は捏造されているとされ、ニコラスのインタビュー(サーカス団経営当時)において、タブロイド紙に掲載された写真は他人であるとして、ニコラスの存在は小規模ながらフォークロア化していきます。
 これらに目を付けたJ・デビットによるニコラスを題材にしたジュブナイル小説「失われた仮面」が執筆されており、読まれた方も多いと思います(J・デビットの名前から、多くの方はサリンジャー執筆と勘違いしての事だと思いますが)。また、他者著作作品にも遊び心として登場人物の一人として書かれる事があり、その場合多くは眉目秀麗であり、皮肉屋として登場します。
 しかしニコラス本人はそういった一面は皆無だったそうです。小説内で書かれるニコラスはあくまでフィクションであり、出生記録も残っており、タブロイド紙に掲載された写真についても、やはり取材記録が残っており、写真も保管されています。
 他にも「自殺未遂による顔面の火傷により仮面収集に執着した」という説がありますが、実際には仮面の話を友人が聞いたのは自殺未遂以前であり、以降ニコラスは精神病院に入院している為、ありえません。
 失望されるかもしれませんが、ニコラス・ジョーンズは、実際には少々エキセンドリックな性格であったとしても、決して魅力的とは言い難く、いたって普通の「誇大妄想狂」であったという事です。
 最後に、ジョン・F・ケネディやマーク・チャップマン等、ある種の有名人がニコラスの仮面を所持していた説は荒唐無稽であり、語るに値しません。ニコラス・ジョーンズの真実とは、彼の収集した仮面が実在し、今もどこかで眠っているという事のみです。
「The Fiction And Truth About Nicolas Jones」より抜粋
訳:小和田明
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